文化人類学の思考法
¥1,980
松村 圭一郎(編集) 中川 理(編集) 石井 美保(編集)
発行:世界思想社
四六判 224ページ
初版年月日 2019年4月30日
malouの店頭で「まだよくわからないけれど、人類学や文化人類学に関心がある」という方からお薦めの本を聞かれたら、この本をお薦めすることが多いです。目次を見ていただくとわかる通り、文化人類学であつかう一通りのテーマを、オムニバス形式で専門の異なる文化人類学者が担当して書いています。
多種多様なテーマと視点に触れることで、文化人類学という学問の全体感をつかむことができるお薦めの一冊です。巻末に「もっと学びたい人のためのブックガイド」が付いているのも嬉しい点です。
【目次】
はじめに すべての考える人のために
序 論 世界を考える道具をつくろう(松村圭一郎・中川理・石井美保)
第I部 世界のとらえ方
1 自然と知識――環境をどうとらえるか?(中空 萌)
2 技術と環境――人はどうやって世界をつくり、みずからをつくりだすのか(山崎吾郎)
3 呪術と科学――私たちは世界といかにかかわっているのか(久保明教)
4 現実と異世界――「かもしれない」領域のフィールドワーク(石井美保)
第II部 価値と秩序が生まれるとき
5 モノと芸術――人はなぜ美しさを感じるのか?(渡辺 文)
6 贈り物と負債――経済・政治・宗教の交わるところ(松村圭一郎)
7 貨幣と信用――交換のしくみをつくりだす(深田淳太郎)
8 国家とグローバリゼーション――国家のない社会を想像する(中川 理)
9 戦争と平和――人はなぜ戦うのか(佐川 徹)
第III部 あらたな共同性へ
10 子どもと大人――私たちの来し方、行く先を見つめなおす(高田 明)
11 親族と名前――関係している状態をつくるもの(髙橋絵里香)
12 ケアと共同性――個人主義を超えて(松嶋 健)
13 市民社会と政治――牛もカラスもいる世界で(猪瀬浩平)
参考文献
もっと学びたい人のためのブックガイド
索 引
○コラム
1 認識人類学の展開 分けることと名づけること(中空 萌)
2 ブルーノ・ラトゥール STSと人類学(山崎吾郎)
3 スタンレー・タンバイア 呪術・科学・宗教(久保明教)
4 合理性論争(石井美保)
5 岡本太郎 境界線を吹き飛ばす爆発(渡辺 文)
6 マルセル・モース 贈与論のその先へ(松村圭一郎)
7 貨幣の多義性(深田淳太郎)
8 フーコー権力論と人類学(中川 理)
9 日常的暴力と日常的平和(佐川 徹)
10 生業と子育て(高田 明)
11 あらたな親族研究の潮流(髙橋絵里香)
12 民族誌、実践誌、人類学(松嶋 健)
13 デヴィッド・グレーバー アナキズムと人類学(猪瀬浩平)
【著者プロフィール】
松村 圭一郎 (マツムラ ケイイチロウ) (編集)
岡山大学大学院社会・文化科学研究所准教授。フィールドは、エチオピア、中東。研究テーマは、所有と分配、経済人類学。著書に『所有と分配の人類学』(世界思想社)、『うしろめたさの人類学』(ミシマ社)。
中川 理 (ナカガワ オサム) (編集)
立教大学異文化コミュニケーション学部准教授。フィールドは、フランス。研究テーマは、市場・国家・周縁性の民族誌。著書に『移動する人々:多様性から考える』(晃洋書房、共編著)
石井 美保 (イシイ ミホ) (編集)
京都大学人文科学研究所准教授。フィールドは、タンザニア、ガーナ、インド。研究テーマは、宗教実践、環境運動。著書に『精霊たちのフロンティア』(世界思想社)、『環世界の人類学』(京都大学学術出版会)。