声めぐり
¥2,035
齋藤陽道(著/文)
発行:晶文社
四六変判 縦168mm 横120mm 288ページ
書店発売日2018年7月26日
今もっとも注目を集める写真家の一人である齋藤陽道さんは聴覚に障害がある。子どものときから補聴器を付け発声の練習をしてきた(させられてきた)。学校では聞こえるふりをして、休み時間には本に顔を落としていた。子供のときのことを思い出そうとしても、実感となる思い出がない。
でもろう学校に入って手話と出会ってから、世界が変わった。毎日学校に行くのが楽しくてたまらない。写ルンですが流行ると、友だちを撮りまくった。社会人になると、障害者プロレス団体「ドッグレッグス」でも活躍。そして、いつしか写真の道へ――。
手話、抱擁、格闘技、沈黙……ひとつひとつ向き合えばすべてが声になる。写真家は、さまざまな声と写真を通し、世界を取り戻していく。
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目次
1
夕陽の原風景
ドッペルゲンガー
白銀の円
手で話す人
二十歳だった
静けさが鳴る
2
悪意のことば
ほんもののことば
対話の原風景
胸男
まっしろな感嘆
声が咲く
3
やっぱり世界はきれいだね
からだの声
まなざしの声
世界を生きる賢者
音楽の此岸から
音楽の彼岸にて
すくわれる秘境の声
あわいの歌
4
光のあなた
抱擁するまなざし
皮膚の記憶
あとがき
【著者プロフィール】
齋藤陽道 (サイトウハルミチ) (著/文)
1983 年、東京都生まれ。写真家。都立石神井ろう学校卒業。陽ノ道として障害者プロレス団体「ドッグレッグス」所属。2010年、写真新世紀優秀賞(佐内正史選)。2013 年、ワタリウム美術館にて新鋭写真家として異例の大型個展を開催。2017年に、7年にわたる写真プロジェクト「神話(1年目)」を発表。精力的な活動を続けている。
写真集に『感動』(赤々舎)、『宝箱』(ぴあ)、『点滴ポール』(岩崎航さんとの共著)『写訳春と修羅』『それでも それでも それでも』(ナナロク社)、『異なり記念日』(医学書院・ケアをひらく)がある。